まひるの月を追いかけて

まひるの月を追いかけて (文春文庫)

まひるの月を追いかけて (文春文庫)

奈良を舞台にした小説を奈良旅の道中で読みたいと思い、持っていったのがこれ。
結局疲れて読まず、帰ってきてから読了。
明日香や春日大社や新薬師寺や白毫寺など、つい最近行った場所が出てきた。
まだ記憶も鮮明なので、ありありと情景が浮かんできてそれだけでも楽しい。
その場に立って全身で受け止めてみないとわからない空気を感じたことがあるのと無いのでは、物語の味わいが大きく違うんだろうと思う。
行く前に先入観無く読んでもそれもまたよし。
行く前に読んだら確実に奈良に行きたくなったろうなあ。
恩田さんの風景描写もよくて。
物語の流れや登場人物の心情や作者自身の想いが投影された奈良の風景なので、同じ場所でも私が感じた奈良とは一味違うのもまた面白い。
奈良で興奮しきりだったが、筋はもの悲しいお話でした。
そして、主人公を始め登場人物が自己や他人を分析する言葉に、時折はっとさせられた気がする。