うましうるわし、奈良。

東大寺の鹿

昨日急遽決まった奈良観光。
昼前にまずは東大寺へ。
東大寺を訪れる度に、盧遮那仏を目にする度に思う。…やはりでけえ、と。
iciccoとしきりに言っていたのだが、とにかく巨大(例・大仏)とか、とにかく金ぴか(例・金閣寺)とか、とにかく夥しい数(例・三十三間堂の仏達)というのは、もうそれだけで凄いよね、存在意義があるよねと。
頭がおかしいんではないかというくらいのギリギリな過剰さは、見る者の感覚をシンプルに刺激する気がします。まあ、好き嫌いこそあれ。
私もiciccoも割とそういう過剰な感じが嫌いではないので、まず南大門の筋骨隆々で巨大な金剛力士像に興奮であります。
そして盧遮那仏のあのでかさにはいつまで経っても慣れない。
何回も見ているのに、「こんなにも?」と毎回のように驚く。
三千大千世界を司る仏にふさわしい姿ですよ。
iciccoが無事に柱の穴をくぐって生まれ変わり、御朱印もいただいたところで大仏殿を出ようとしたら、一匹の牡鹿がお出迎え。
なんかこれ、デジャブ…あ、去年の夏にiciccoと厳島神社に行ったときと同じだ!


貫禄ある牡鹿に若干戦きつつ、二月堂へ向かう。
二月堂から見下ろす古都奈良の景観にしばし見入る。
そしてその景色を見て何故か急に決心。「そうだ、京都へ行こう」
という訳で延泊決定、明日は京都観光!…表向きは体調不良、ということで(笑)
奈良の匂ひが、天平の甍が、私をそう誘なっているのだよ。
あくせくしなくていい、尖らなくていい、鈍角にゆらりと生きてゆけ、とな。
こうやって有耶無耶に自分を甘やかしてみる。…でもたまにはいいじゃないか、うん。
三月堂。これはもう、否応なしに心が沸き踊りますよ。
天平仏像オンパレード。
東寺の立体曼荼羅ほどの華やかさはなく、全体的には朴訥な印象。
でもそれぞれ肉感的で美しい。
不空羂索観音はやはり見事。力強い。
その両脇に静かに侍する日光月光菩薩
素晴らしいね、このバランス。
そして割と四天王が好きです。


ブツを満喫した後はすぐ隣の手向山八幡宮へ。
「手向山」が出てくる百人一首が思い出せずiciccoと2人でしばし悩む。
そしたらちゃんと碑がありました。


このたびは ぬさもとりあへず 手向山 もみぢのにしき 神のまにまに


菅原道真公の歌でした。
神殿のすぐ側で一匹の鹿がひたすらに落ち葉をむしゃむしゃと食べていて、あまりのかわいさに構ってみたり。
初めて見た、鹿がフンをする瞬間!
意外と一気に大量に出すよ奴は。その豪快さにびっくり。
こりゃいいもんを見た。


少し歩いて春日大社へ。
一年半ほど前に、熊野三山巡りをした帰りに寄った時以来。
やはり美しいです、春日は。
特にあの回廊。
外国の建築は地面をまず平らにしてから建てるけれど、日本の建築は地形に合わせて建てるそうで。
周りを変えるのではなく、己が周りに合わせる努力をする。これって凄いことだ。
ここの回廊も斜めの地形に沿って造っており、大変に難しい技術を駆使しているとのこと。
建築そのものはもちろん、そういったこだわりや繊細さも美しい。


私的メイン、興福寺秘仏特別公開へ。
時間があまりなく少し急ぎ足で、まずは国宝館の仏観賞。
興福寺といえば八部衆
しばらくぶりだったので食い入るように見てしまったわ。
そう、私の仏像好きの原点は、12歳の時に出会った阿修羅像なのであります。
初恋の人に再会したかのようなこの仄かな甘酸っぱい気持ちをどうしてくれよう。…超場違い!笑
そして金剛力士立像にやられた。
別にマッチョ好きでもないけれど、この筋肉の質感と躍動感はすごい。
見惚れるわ…。


五重塔を見て「黒い!」「天平は黒い!」
さも頭の悪そうな発言を2人で連呼しながら、特別公開の大圓堂へ。
本尊・聖観音菩薩立像はもちろん、大圓堂も初公開だそうで。
丁度よい時に来られて良かったなあ。
秘仏の本尊、遠くて細部までは見えなかったのが残念。
品のある端正な姿でした。
庭には七福神のお面だの竜の尻尾だの、藪内佐斗司さんという彫刻家の作品が展示されていて、これがまた独特でシュールで面白かったです。
新聞社のカメラマンに写真のモデルを頼まれてしまったりして。
旅っていろんなことがありますなあ。


日も大分傾いてきたので京都へ移動。
携帯サイトで今晩の宿を検索してなんとか予約。
すんごい行き当たりばったり…!でも私たちらしいね。
しかも適当に間際にとった宿がなかなかよろしくて。素晴らしいわ私たち。
嵐山の渡月橋の近く。
夜はおしゃれな居酒屋でおばんざいをつまみに焼酎をちびりとな。
いい具合に酔っぱらって大変にいい気分な、秋の京都の夜でございました。