続・文芸漫談『仮面の告白』

続、というかなんというか…
以下、自分のための覚え書き。(私の雑なオツムではどうもまとまらんので、感銘を受けた部分を雑多書き、そしてうろ覚え)




この時代でこそ同性愛小説はセンセーショナルだったが、今の時代では別段そんなことはない。
では今これをどのように読んだらいいのか。より楽しめるか。
ユーモア要素はほぼ無い小説だから畏まって至近距離で読み進みがちだが、ふと距離を置いてみると主人公の言動は割と突っ込み所が満載…!
…と、ここからがお二人の突っ込み本領発揮。
私もまさにがっつりと至近に深刻に読んでいたのでねえ。
いや、それはそれで勿論正しいんだが、お二人の博識さと嫌味のない突っ込みでもって新たな楽しみを味わえるのが文芸漫談に通っている所以であります。
園子とお互いの写真を交換したくだりで、園子は主人公の写真をペンダントで首にかけている一方、園子からもらった写真は大きすぎて鞄に入らず風呂敷に包んで持ち歩いてた…とか!
かわいすぎる…!
言われなきゃ気付かなかったぜ、このかわいさ…!
ここは唯一、意図的にユーモアを入れたに違いないとせいこう氏は主張しておられました。


この小説を駆動するエンジンはロマンティックアイロニーである。(せいこう氏)
信じていないものを信じているふりをしたり、好きではないものを好きだと言ったり。
恋愛状態への皮肉、そしてそこから得られる可笑しみというか。
うん、確かに。
仮面の告白」なテイなこと自体がもう、ナルシズムな自嘲に思えて仕方ない。
多分主人公自身は必死なんだろうけど。


この小説は愛のドン・キホーテドン・キホーテと本文に書いてあるから笑っていい。(奥泉氏)
そして出ました、園子=風車説!
これは勿論冗談だけども、あながち間違っていない気もしたり。


とにかく、三島は少年を書かせるとかなり上手い。
園子が出てくる後半より、ツッパリ同級生に恋する前半の方が断然いい。
男の描写は緻密なのに、女は一筆書き。
…これにもかなり納得!「一筆書き」に笑った。
これはなんというかもう、そういうこと、なんだよねきっと…!
せいこう氏はさらに、男=詩・女=小説になっている、三島の文体は元々詩に近いが、対男性においてその筆力がより発揮されている…と。
だからもう、そういうことなんだよ…!(雑な思考と表現力ですみません!)


他にも色々と感銘を受けたり笑ったりしたはずだけども、だめだー、覚えてない。
とりあえず、三島由紀夫に対して前より構えなくなった気がする。