未来冷蔵庫

さっきからちっさい蛾が部屋ん中をぐるぐる飛んでいてかなり不快です。
いーやーだー
奴をしとめたらいいもんあげるよーと押し入れ猫うめこ(一昨日、梅子からうめこに改名)をけしかけてみたけれど。
「私は無闇な殺生はしません。そして貴方の言ういいもんは百パーセント怪しいです」
あ、ばれてた…!
昼間買ったコーラの残りなんていらないかあ。
たまに飲みたくなるのだよコーラ。
一口飲んでやはり自分はコーラが苦手だということに気付くのだけど。
また冷蔵庫に放置されるのだろうな。


そういえば。
我が家に新しい冷蔵庫が来た。
今までの冷蔵庫はこの家を建てた時からだから、えと、23年くらい使ったのか。
電化製品には当たり外れがあると言うが、これは申し分なく見事な当たりだったなあ。まだ壊れてはいなかったし。
でももういつ止まってもおかしくないということで、円満退職。
いやしかし、今の冷蔵庫ってすごいのな。
野菜室は真ん中だし、引き出す冷凍だし、氷は勝手に出てくるし、温度調節できる切替室とかあるし、電動タッチオープンドアだし。
何だ電動ドアって。私たち人間様の家のドアはまだ手動なのに。食材のくせにー。
冷蔵庫の明かりは橙色だと信じ込んで今まで生きてきたけれど青白いし。
すげえ、未来っぽい。テクノだ。コスモだ。何となくクリスタル。
来てるな、未来!
……スミマセン。
よくよく見たら別にそんなこともなかった。当たり前だ。ここは現代だ。
しかもむしろ未来から遠ざかっているような言葉を勢いで並べてみたりして。
何だかんだ言いつつ、1番感動したのがワサビのチューブ立てだったりする。
未来っぽい(まだ言うか)中に、主婦の裏技的な。
こんなとこまで気を配ってる私ってすごいでしょ!って、ああ、磯野貴理の声が聞こえる気がする。
やだなそんな冷蔵庫。
全然そんなんじゃないんだけどな。
だってあくまで未来の冷蔵庫ですから。
ドアを開けたらぎっしり未来が。
未来が来るまで冷凍保存。
でも、ドアを開けるその瞬間は現在であって未来ではなく、未来はいつまでたっても未来なので、果たして冷蔵庫は何の為に存在するのであろう。
…いや、まあ食材を保存する為ですけども。当然。
差し当たっては飲みかけのコーラを冷やしてみたり。