くまくまくまー

とっても良い天気なので河川敷をぷらぷら散歩していたら、川岸に男の人がしゃがみ込んでいた。
レインボーなニット帽をかぶっていて、緑ジャージ姿。
年は30代半ばくらい…?いや、わからんなあと思いながら、少しばかり距離を取って横を通り過ぎようとしたら。
急にその人が振り向いて「ぼくさあー」と話しかけてくる。
え、私?私に言ってる?
思わず男を見ながら立ち止まる。
「かわしょくにんなんだよねー」
かわしょくにん、川職に…あ、革、職人…ですか。
そう言われましても。私は何と言葉を返せば…。
新手のナンパ?…ちょっと雰囲気がクドカンに似てる。
このまま無視して逃げようかな、ああどうしよう。
「ほら、みて」
そいつは立ち上がって毛皮のようなものを拡げた。
畳一畳分はありそうな動物の開きみたいな茶色い毛皮。
「これ、くま」
へえ、熊の毛皮なんだあ。思わず近寄る自分。
「さわってみ」
言われるがまま熊毛皮を撫でてみる。
「けっこう熊って毛並みが良いんですね」
そう言ったら、男は満足そうに笑顔でうなずく。
発する言葉は絶対ひらがなだよコイツ、って感じだけどいい人そうだな革職人。
「すわる?」
そう言いながらクドウさんは毛皮を地面に敷く。
いや、そんな…。
躊躇する私ににかっと笑いかけ、どかっと熊に腰を下ろす。
うーん、これはやはりナンパなのかしらという思いに囚われつつも、あまり悪い気もしなかったので遠慮がちな素振りで座ってみる。
なんかふわふわしてる気がする。
熊も自分の気持ちも。
…これって恋のはじまりですか。
否応なしにオイラの心臓フル鼓動。
何かしゃべりかけた方がいいかな、ど、どうしよう。
男の人と川縁で並んで座るなんてそんな経験したことないしさ。しかも熊の毛皮に。
あー…いかがしたものか。
どぎまぎしながらクドウさんを見ると、相変わらずのにこにこ顔で毛皮を撫でている。
と思ったら、毛をぷちぷち毟っとる!
そんな私の視線に気づいたのか。
「かわしょくにんだから」
あー職人ならではのこだわりに基づく微調整なのかしら。
「ぷうさん」
へ?…や、え?今なんとおっしゃいました?
「ぷうさん、ぷうさん」
えええ。。そ、それは…あの?例の?
聞き返すのも憚れる由々しき事態だわ…
クドウさんがにっこり顔で私を凝視してくる。
め、目が笑ってない…
何だか急に彼の笑顔が恐ろしく見え、思わず腰を浮かした。
この人、浦沢マンガに出てきたことない?
こ、こわいよう。
逃げなきゃ。今すぐ逃げなきゃきっと私もああなる、毛皮になる!
脊髄反射で逃げ出してしまった。
必死で走りながら、追いかけてきやしないかと後ろを振り返ると、奴は立ち上がって大きく手を振っていた。


以上、昼寝時に見た夢です。
久々に夢覚えてる。
すんげー怖かった…
最後、クドウさんの顔が浦沢マンガっぽい顔になってたもの。MONSTERとか20世紀少年とかに出てくる正常な精神を失ってる人みたいな。
所々おぼろげな夢を文章にしているので、少々端折ったり脚色入ったりしてますが。
ぷうさんぷうさんと唱えてたのが大変印象的でございました…
恋物語になると思いきや、結局怖がらせてお終いかよ。
ほのかなトキメキは恐らく願望だと思うが。
あと、確実にラーメンズの影響*1が多分に入ってますが。
ていうか、革職人ってこういう人ではないですよね。
ていうか、クドカンぽいだの、浦沢マンガっぽいだのゴメンナサイ。
そして何より、ネズミの国のくまさん、ゴメンナサイ!
でもでも、私のせいではないの。
それだけはわかってください…


でも彼ってぬいぐるみだよなあ…

*1:第12回公演「ATOM」の「採集」というコント